結婚のための挨拶の墓参りのあと、上の子が生まれた時に、また挨拶に行こうと思い立ちました。
震災のあとのことです。
私の祖父の家は残っていますが、町は津波で流されてしまいました。
結婚直前のあの時が、子供のころから見てきた町並みをみた、最後の記憶になりました。
いつなにがあるかわからない。今見ているものは今が最後になるのかもしれない。
そんなことが、震災以降、私の心の教訓になりました。
それと、子供が生まれたことも「ご先祖から受け継いだものがこの子に受け継がれていくのだな」との思いに重なりました。
さらに、父の年齢も、高齢になってきました。
父が、今後お墓のことをどうしていきたいのかを聞いておきたかったこと、
現在父が檀家をしているお寺についての諸手続きなど、私は姉妹しかいないのであとを継ぐ人はいないし、
父が元気なうちに知っておきたかったのです。
そんな思いがあってもなくても父は理由を聞くこともなく、
久しぶりに、田舎への帰省に同行するのを、まるで毎年の行事のように、
着々と準備・連絡してくるのでした。
そして、やっとその日が来ました。
8月16日。世間の皆様はお盆休み最終日でしょう。
育休中の私と、夫と、上の子、間もなく1歳になる、昨年生まれたばかりの下の子と4人でまず父の自宅に行き、合流。
父の大きなワゴン車に荷物を詰替えて、一路岩手へと向かいました。
朝5時の出発・・・のはずが、40分も過ぎてしまいました。
父に「荷物多いなあ」といわれましたが、父に迷惑をかけないためにも、
子供たちのおもちゃや着替えをたくさん持ってきたのです!といったようなことを言い訳しながら、
私が助手席に乗って、ドライブ開始。
うっすら朝になろうとしている空を見ながら、高速道路に乗りました。
上の子は、朝早くでたから寝てくれるかな、と思いきや、いつもと違う状況にかえって興奮気味でした。
そして、高速道路にはいってわずか20分ほどで、飽きたようです。
なんだかわめいているので、父が運転しながら一言いいました。
【夏の旅行の思い出 4へ続く】